標準偏差と相関係数の求め方【資産運用(株式投資)リスクの基礎】

標準偏差の公式と種類

母集団全体のデータに対しては、標準偏差σを求めます。
母集団の一部のデータ(抜き取りサンプル)に対しては、標本標準偏差sを求めますが、母集団に比べ標本数が少ない時は母標準偏差に等しくなるように補正した不偏標準偏差uを求めます。

標準偏差

μ  母平均
σ  母分散
σ  母標準偏差
¯  標本平均
2   標本分散
s 標本標準偏差
2  不偏分散
不偏標準偏差
n サンプル数

標準偏差の求め方

1.データを取り平均値を求める

   測定値
 x1   120
 x2   119
 x3   118
 x4   117
 x5   116
 x6   121
 x7   122
 x8   123
 x9   124
 x10   120
平均値   120

2.平方和を求める

それぞれの測定値から平均値を引いた偏差を求めます。偏差を二乗して全て足したものが平方和です。

  測定値

偏差
(測定値と平均の差)

偏差2
x1 120 0 0
x2 119 1 1
x3 118 2 4
x4 117 3 9
x5 116 4 16
x6 121 -1 1
x7 122 -2 4
x8 123 -3 9
x9 124 -4 16
x10 120 0 0

平方和=0+1+4+9+16+1+4+9+16=60

3.分散を求める

分散はデータのばらつきを表します。

 分散の種類
 a. 母分散σ2 :母集団(全体)の分散。
 b. 標本分散s2:標本(データ)の分散。
 c. 不偏標本分散(不偏分散)u2 :標本分散を n/(n−1) 倍し補正したもの。

標本分散の場合
分散s2 = 平方和÷n = 60÷10 =  6.0

不偏分散の場合
分散u2  = 平方和÷(n-1) = 60÷(10-1) =  6.7

4.標準偏差を求める

標準偏差s = √標本分散  = √6 = 2.45 
不偏標準偏差u =√不偏分散 =√6.7 = 2.58

ちなみにエクスルを用いれば、エクセル関数で簡単に求める事が出来ます。

標準偏差s は、STDEVP 
不偏標準偏差uは、 STDEV

標準偏差の使い方

標準偏差のグラフ

データの分布が正規分布となった場合、 標準偏差σと確率の関係は以下の様になります。
  ±1σの範囲の中に入る確率は68.3%
  ±2σの範囲の中に入る確率は95.4%
  ±3σの範囲の中に入る確率は99.7%

つまり、平均値が120、標準偏差が6であった場合、 68.3%の確率で114~126の範囲に収まり、 99.7%の確率で102~138の範囲に収まるという意味を持っています。 投資の世界ではこの標準偏差をボラティリティ(リスク)として使います。

投資信託の場合、ある測定期間内のファンドの平均リターンから各リターンがどの程度離れているか(偏差)を求めます。 平均リターンが5%、標準偏差が15%となっているETFを購入するときは、リターンは99%の確率で-40%~+50%の範囲に収まるという意味です。

2σ程度の範囲の変動は普通に起こるものだと覚悟しておく必要がありますし、また、0.3%の確率で-40%の変動を超えるという意味にもなります。投資おいては、このデータはあくまでデータ期間範囲での過去の参考値です。 数百~数千銘柄に分散されたインデックス商品でも相当な変動幅を持っているということは、個別株投資がいかに変動の大きなものであるかを想像することが出来ると思います。 資産運用(投資)の初心者が投資商品を選別するときは、標準偏差ができるだけ小さな値を示しているものを選択することが好ましいということです。

相関係数の求め方

1.データを取り標準偏差を求める

 
x1 12 28
x2 38 35
x3 28 55
x4 50 87
x5 76 93
平均 40.8 59.6

標準偏差の項目と同じやり方です。
平均値を求める→平方和を求める→分散を求める→標準偏差を求める。

Aの標本標準偏差 21.6
Bの標本標準偏差 26.4

Aの不偏標準偏差 24.1
Bの不偏標準偏差 29.5

2.共分散を求める

  Aの偏差 Bの偏差 偏差の積
x1 12 28 -28.8 -31.6 910.08
x2 38 35 -2.8 -24.6 68.88
x3 28 55 -12.8 -4.6 58.88
x4 50 87 9.2 27.4 252.08
x5 76 93 35.2 33.4 1175.68

標本共分散は、偏差の積の和を n で割ります。
不偏共分散は、偏差の積の和を n − 1 で割ります。

偏差の積=910.08+68.88+58.88+252.08+1175.68=2465.6

標本共分散=2465.6÷5=493.1
不編共分散=2465.6÷(5-1)=616.4

3.相関係数を求める

標本標準偏差から求めた相関係数
 相関係数r
  =  標本共分散÷(Aの標本標準偏差×Bの標本標準偏差)
  =  493.1÷(21.6×26.4) = 0.865

不偏標準偏差から求めた相関係数
 相関係数r
  =  不偏共分散÷(Aの不偏標準偏差xBの不偏標準偏差)
  = 616.4÷(24.1×29.5) = 0.865

実は共分散は標本標準偏差を用いても不偏標準偏差を用いても同じ値になります。 計算式の分母と分子両方にnもしくはn-1の項があって相殺されるためです。

ちなみに相関係数もエクセル関数のCORRELで簡単に求めることができます。

相関係数の使い方

相関係数が0は相関が全く無いという意味です。1と-1は完全な相関があり、マイナスは逆の動きをする逆相関です。 イメージが掴みにくいと思うので、下の実例をご覧下さい。

 
x1 1 1
x2 2 2
x3 3 3
x4 4 4
x5 5 5

表の様な値を入力すると相関係数は1になります。Aが1の時にBも1、Aが5の時にBも5なら完全な正の相関を持っているという事です。

 
x1 1 5
x2 2 4
x3 3 3
x4 4 2
x5 5 1

表の様な値を入力すると相関係数は-1になります。Aが1の時にBは5、Aが5の時にBが1なら完全な負の相関を持っているという事です。これが逆相関です。

資産運用のための分散投資を行う場合は、できるだけ相関の低いアセットを組むことが大切です。相関係数が1という事は、Aの株式が下落したらBも同じ様に下落し、逆に-1ならAが上がっているときにBは確実に下がっているという事です。プラス1でもマイナス1でもよくありません。0に近い(相関の低い)資産の組み合わせが望ましいという事です。

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