分散投資の最適な保有銘柄数とは【分散のメリットとデメリット】

分散投資ポートフォリオには何銘柄が必要なのか

銘柄数

まず最初に、資産の運用のために時間を割きたくない投資の初心者やリスクを抑えたい人には、個別株ではなくインデックス等のETF(上場投資信託)で保有する事が推奨されています。しかしそれはあくまで一般論です。インデックスが経済の停滞局面で力を発揮し辛いことを考慮すれば、セミリタイアを目指す配当(不労所得)重視の投資家がコアにインデックスを構えることは、また別のリスクを抱えることになってしまいます。

では、個別投資を行う場合、ポートフォリオには何銘柄を組み込めばよいのでしょうか?3銘柄なのか、10銘柄なのか。保有銘柄数については、ある程度の分散をすることでリスクは減ると理論的な検証は行われていますが、実際の所の具体的な数はいくつだと思いますか?結論から言って、初心者や並の投資家には10銘柄でも少なすぎると思います(当ブログの方針は長期投資です)。

企業知識のない者が適当に選別した10銘柄のリスクは恐ろしく高いものです。TVCMをうち有名だったのに、悲惨な株価になっている所や倒産した企業はたくさん思いつきますよね。知名度の高い華やかな企業に投資すれば安全って訳ではないし、売上が右肩上がりで絶好調な様子を見せておきながら地に落ちた企業も数知れず存在します。

かつて栄華を極めた小売の王様ダイエー、シャープ等の大手家電メーカー郡、昔は誰もが知っていた小僧寿司等の外食チェーン。自動車関連メーカーの上場廃止もここ数年でいくつもありました。ディフェンシブ筆頭であった東京電力も未だに株価は回復せず。米国に至ってはゼネラルエレクトリック社など、挙げればキリがありません。

分散投資のメリット(Meir Statmanの研究結果)

理論通りにはいかないのが現実ですが、あえて理論の上から少し考察してみますと、1968年のEvansとArcherの研究では、10銘柄程度を保有すればよいと発表されました。しかしそれは少し古く、その20年後の1987年のMeir Statmanの研究では、30~40銘柄を保有する事でアンシステマティックリスク(非システマティックリスク)がなくなるという結論に至っています。このMeir Statmanの研究結果によればリスクは下記のようなグラフ推移と成ります。

銘柄数とリスクの関係

銘柄数とリスクの関係

横軸は銘柄数、縦軸はリスク(銘柄数1の時のがリスク1となっています)です。

アンシステマティックリスクとは

資産の数を増やす分散投資により消去することが出来る個別銘柄リスク。対して市場全体の影響による消去できないリスクを『システマティックリスク』と呼びます。

10銘柄と75銘柄のリスクの差は20%ほど開いています。この差は非常に大きいです。投資対象の分散は大きく勝つということからも遠ざかるため、プロの世界では好ましいこととはされていませんが、私達は短期的に結果を求められるプロとは違います。異なる選択を取ることが許されているのです。

そして時代は変わり、2001年には50銘柄、2007年には100銘柄が必要だとの研究も発表されています。10銘柄への分散がいかに少なすぎるかということは長年の経験則からも言い切れます。研究が進むごとに銘柄数が増加していくというのは、計算に全てのリスクを織り込めていないため、年々補完し改善されているようです。

銘柄数を増やす事により逆にリスクが増すと説く人には、計算方法と根拠を提示してもらわなければなりません。他にも管理コストの増加等のデメリットがメリットを上回るというのならば、資産運用のアドバイザーとしては無視した方が賢明です。

分散投資とは臨機応変に対応すべきもの

100万円の資金力の人が10銘柄に分散するのは十分ですが、1億円の資産を持つ人が10銘柄にしか分散しないというのならば、どれほど自分の選定眼に自信があるのかと驚きを隠せません。

最適な銘柄数は資金力により変わるし、相場に長くいれば保有銘柄数は増えるのが自然です。例えば10銘柄から配当が入って、その配当を次にどこに再投資するかを考えている時、保有している10銘柄よりも確実に買い場だと思える企業があったらどうしますか?その10銘柄に縛られて最高の好機を逃さなければなりませんか?臨機応変に柔軟性を持って対応することが大切ですよね。

資産運用における保有銘柄数はリスク許容度から考える

複数

銘柄数を決定する時に考えて欲しいのが、自分のリスク許容度です。例えば、前提条件として失敗の遭遇率を無視した場合、10銘柄のうち1銘柄がやられて10%を失ったとします。平均配当が5%(もしくはキャピタルの伸びが5%)だとしたら、回復までに2年以上を費やします。これが40銘柄に分散していた場合、失うのは2.5%ですから入金無しでもたったの半年でリカバリーの完了です。

3銘柄に集中投資なんていうのは資金100万円程度の投資金額なら構いませんが(給料の数ヶ月分でカバーできるなら)、5,000万円くらいになってくると普通の人は一度の失敗で取り返しがつかないことになります。結論をのべると、投資資金が1,000万円程度で個別株投資を行うのならば、初心者のうちは少なくとも投資対象を20以上にすることが必要です(最低でも10)。

数千万円を越える資金になってくると40程度を推奨します。株式以外のREIT等の異なるアセットも含めて、管理できる範囲で出来るだけ多いほうがよいかと思います。どれが未来の優良株かなんて分かりませんからね。Meir Statmanの研究結果と、リカバリーの観点を兼ね合わせて考えると、この辺りの銘柄数への分散投資が妥当なのではないでしょうか。

もちろんこの40銘柄は幾千の中から激選した40銘柄ですよ。適当に選定して、ダメになるものとの遭遇率が上がっていたら意味はありませんから。

実際に投資をしてみると、上位のお気に入りの10銘柄に配分が偏ったりってことになるとは思います。僕が持っている投資本では10銘柄を推奨しているんですが、○○さんが言っていたから10銘柄にしよう、投資本に10銘柄でいいと書いてあったからとか、そういう判断基準の作り方は身を滅ぼすので気をつけましょう。

年収の高い入金力の強い人はアグレッシブに挑戦すればよいかもしれません。但しそれは投資ではなく投機の範囲に入るかもしれません。自分の入金力やリスク許容度などのバックグラウンドを考慮して決めて下さい。資金力が大きくなってくると目先の配当利回りを重視せずにETF(上場投資信託)を利用したインデックス運用の比率を上げていくという戦略も良いと思います。

分散投資にデメリットはあるのか

銘柄数の増加でリターンが減少するという間違い

一般に銘柄を分散させるとリターンが減少すると思われています。プロの世界ではそうなります。確実に勝てる株がありながら、他の株に資産を割り振るのは愚かな行為です。では聞きますが、あなたはプロですか?一個人投資家はテンバガー(10倍に伸びる株)を見抜くことは出来ません。

確率的に引き当てているにすぎないのです。例えば確率を10分の1とした場合、10銘柄を所有しようが20銘柄を所有しようが、リターンは同じです。20銘柄保有した人はチャンスが2回訪れるので、基本的には変わりません。分散により得られるメリットのほうが大きいのです。

管理の手間問題

銘柄数が多いと管理の複雑化も問題視されがちです。しかしレポートを読んだりしないズボラな人は5銘柄でも目を通さないでしょうから、そういう人こそ逆に銘柄数は増やすべきではないでしょうか。

一個人投資家が負けない投資に身を置くためには、銘柄は多いほど分散の効果を発揮するはずです。そしてこれは国際分散を組み込むことでリスクはさらに低減されます。

ネットや各種システムの発達した今、長期投資家にとって管理の手間などそれほど大きなものではないでしょう。長期投資家として、最初にエントリーしたら基本的には二度と売らない、バイ&ホールドの姿勢をとることを推奨しています(本当に二度と売るなと言っているのではありませんよ。確実に沈むとわかっている船からは脱出しなければなりません)。

決算に一喜一憂する必要はありません。決算の度にパソコンの前に張り付き、売買を判断し他者より先に動いて資産を増大させる力があるならそれはもうプロの領域です。多くの投資家は予想を○○%下回ったから売る、という数字の基準を持たず、感覚的に売買を行っているでしょう。例え7%下回ったら売るというルールを作ったとしても、株式のボラティリティから言えば頻繁に売買を繰り返すことになるため、右肩上がりの相場でなければどんどん資産は減少します。絶対的な損切りのルールや買い増しのルールが存在すれば、誰もが大金持ちです。

普通の人には無理です。頑張って売買を繰り返して資産を減少させていくのが通例です。出来ると答えている人達は相当な力を持っているか、たまたま上手く行っている結果が増徴させてしまった自惚れやさんです。

2分の1のゲームを10回連続で勝つ人はいます。確率的には1,000人に一人現れます。勝ち上がり大金を手にすればリスクを抑えた投資に移行することも可能で、勝っている人は説得力もあることから、売買を繰り返せ!損切りしろ!という危険な投資法が広がる訳です。気をつけましょう。

それにファンドマネージャーは素人には数銘柄を推奨しおきながら、自分達は多くの銘柄に分散しています。集中投資のリスクの高さを知っているのです。

投資家は能力を過信した時に負ける

チェックメイト

アクティブで勝ち続けるトレーダーはわずか

知人の知人という少し遠い人の話ですが、もと証券会社に勤めていた億単位を動かすトレーダーがいました。プロですが勝ち続けることが出来ずに精神を病みました。だからその人を引き合いにデイトレはやるなと口を酸っぱくして何度も言われています。人間は数年という月日で勝ち続けていると自分の投資法が優れていると勘違いする様になるのです。

また、僕が昔、短期間で儲けることが出来た投資先はライバル企業の株でした。ライバル企業故に入ってくる情報量が凄く多かったのです。数字だけを見て決めた投資先は、やっぱり株価が下がってしまったというケースも少なくありません。集中投資で資産を伸ばした賢人達は、朝から晩まで企業の情報収集を行い、直接足を運び話し、誰よりも研究を重ねています。それでも勝率は6:4くらいではないでしょうか。

ウォーレン・バフェットですら彼の投資法はもう通用しないとか、散々叩かれるんですからね。一個人投資家が知ることが出来る企業の情報などたかが知れているということ、自惚れてはならないと言う事を肝に命じましょう。あなたはその企業で働いた事がない外部の者なのですから。

100%は無い

最後に、この章で僕が最も言いたい事はいつもと同じで恐縮ですが、理論は定理では無いということです。10銘柄保有すれば大丈夫だとか、30銘柄あったら大丈夫だという一つの研究結果を妄信するなということ。研究結果は移り変わるし、未熟であるし、自分のケースに当てはまるとは限りません。

だからと言って極端な行動には出ないで下さいよ。あくまで一つのツールとして使うのです。一番大切な事は負けないことなんです。資産の形成で敗北したくないのならば、周囲の意見に流されず自分でよく考える事が必要です。10銘柄でいいよ、って書いてあったら『何故?』って、少し疑って考えてみて下さい。一攫千金の夢に取り憑かれて真に敗北した時、そこに待っているのは地獄です。

ちなみに自分は何銘柄保有しているのかと聞かれると、100銘柄以上を保有しています。但し、均等ウエイトではありません。落ち目産業への逆張りもしています。新興市場など実験的に保有している部分もあります。本来なら切るべきものも戒めとして持ち続けているものもあります。まぁ僕の様なことをやれば、大きくは勝てないし、負けもしないという証明&参考にはなるでしょうか。ただ、ここまでくるとさすがに手間ですね(爆)。愚行を認めます。失敗が多いです。反面教師として下さい。そしていつか専業投資家になったら許して下さい。

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