初心者向け資産運用講座【アセットアロケーションとポートフォリオ理論】

アセットアロケーションとポートフォリオ

アセットアロケーションとは

アセットアロケーション

資産配分

資産=アセット、配分=アロケーションという意味です。

資産配分のことを「アセットアロケーション」といいます。

一般に株式、債券、不動産など、資産の大きな分類を指します。

ポートフォリオとは

portfolio

ポートフォリオとは、もとは『紙ばさみ』や『折りたたみカバン』を意味する言葉です。複数の品物を挟み収納する様子から、金融の世界では一般的に具体的な金融商品の組み合わせを指します。

ポートフォリオ(英語:portfolio)とは、安全資産と危険資産の最適保有率のことである。マクロ経済学の分野からの延長線上として、金融経済学(financial economics)や数理ファイナンスを金融工学と同様に理論的バックグラウンドとして持ち、貨幣市場において金融機関が事業活動を通じて取り扱う様々なリスクを計測し適切なマネージメントを考える上で重要な概念である。

出典:Wikipedia

アセットアロケーションとポートフォリオの違い

資産配分(アセットアロケーション) ポートフォリオ

日本株式
外国株式
債券

個別銘柄A
個別銘柄B
個別銘柄C

資産配分を資産ポートフォリオと呼ぶ企業もあったりと、結構曖昧に使われています。

資産運用で初心者が失敗する理由

投資の初心者は負けない投資を心掛けよう

投資において、最も重要なことは何かを考えたことはありますか? 優良な個別銘柄を選択することだと思いますか? 割安になったタイミングで株式を購入することだと思いますか? 確かにどちらも投資のパフォーマンスに影響を及ぼす項目ですが、最重要項目ではありません。 投資法は人それぞれだから、好きにしたらいい?資産運用の初心者にそれは厳しく難しいことです。

一般の個人投資家(投資の初心者)にとって最も大切なことは相場から退場しないことです。 これは万人に共通して言えることではないでしょうか。 限られた人生の中で資産を運用するということは、絶対に負けないことが求められます。一度でも相場から退場を強いられれば、資産の形成速度は非常に遅くなり、 お金持ちになるのが人生の終焉間近なんてことにもなりかねません。 意味が無いとはいいませんが、非常に薄くはなりますよね。

一気に資産を華麗に数倍にする、ということよりも、資産運用の初心者は、『資産を守りながら少しづつ確実に増やす』、これがあるべき姿だと思います。

『ゆっくりとした資産形成なんて意味が無い』

これはよく耳にする言葉で、痛い程理解することができます。 僕も才能があるのなら一気に資産を増やしたいのが本音です。でも投資の初心者が目指すべき所ではありません。 初心者でも短期的にハイパフォーマンスを上げる人はたくさんいます。100人で勝ち抜けゲームを開催すれば、99人の敗者が生まれますが、必ず一人の勝者が生まれます。1万人いれば100人が生き残りです。

じゃんけんゲームでこの一人になることが望みですか?それは資産運用や投資というよりは、確率に任せたギャンブルですから、少し別の世界の話です。資産設計は学問的な要素も入り、心理的な駆け引きに身を投じる必要はありません。資産運用の初心者は、まずは基礎を学び、資産を減らさないこと(負けない投資)に重きを置きましょう。

投資の初心者が犯す失敗【アセット分散の重要性】

失敗

では投資の初心者が、負けない投資を行うという事はどういう運用を行うことでしょうか。例えば資金を米国株式5銘柄に分散投資していたとします。状況によってはこの銘柄全てが半値になることもあるでしょう。

投資の初心者はこの下落に耐えることが出来ません。一生懸命に数年を掛けて貯めて投資をした虎の子の1,000万円が500万円になってしまったとしたら、あなたはその時どう思うでしょう。

皆最初は上がると信じて期待に胸を躍らせ、株価が下落したとしても耐えられるると考えています。本当に涼しい顔をしている事ができると思いますか?いざその時が訪れれば、加速を増しながら落ちて行くナイフの状態です。決算はボロボロ。配当は停止。倒産するのかしないのか。どこで下げ止まるかなんて、誰にもわかりません。

あちらでもこちらでも悪情報が流れ愚かな対象へ投資したものだと中傷されます。意気揚々と明るい未来を夢見て買いを入れた銘柄達への失望と資産の大幅な減少による絶望。10年以上もチャートは右肩あがりだったから順張りしたのに・・・。疑心暗鬼の念に支配され、回復するというよりは、まだまだ下がるのではないかという恐怖心が一日一日と日々強くなっていきます。苦しみは一日では終わりません。顔面蒼白です。

この辺りの感情を想像することは不可能に近いです。経験しなければわかりません。1ヶ月2ヶ月と毎日頭から離れずに資産の減少に怯えながら苦しみ続けるのです。そして楽になりたいという気持ちとゼロになるくらいならと、損失を確定させてしまいます。これが投資の初心者の普通の心理で、多くの個人投資家の負けパターンです。

株式とは『安い時に買って高い時に売る』これが基本なのに、多くの投資家は逆の行動を取ってしまいます。この投資(資産運用)の失敗点は何かおわかりでしょうか?暴落の恐怖に耐えられなかったことでしょうか?メンタルが弱かったのでしょうか?銘柄の選定が甘すぎたことでしょうか?

いいえ。敗因はシンプルです。それ以前の問題なのです。この失敗は、一つのアセット(資産)に集中投資してしまったことにより、下落のタイミングが同じだったという所にポイントがあります。一つのアセットが暴落しても、他のアセットが堅調ならば、怯えずに冷静に客観的に見守り判断を下すことが出来るのです。

資産の運用において最も大切なのは、できるだけ相関の低い複数のアセットを組み込むことです。資産運用の初心者は、後述するポートフォリオ理論を参考にしてみて下さい。理論は実践では通用しないものです。しかし理論や戦略を机上の空論として蔑ろにする者は、さらに実践では通用しません。加えて、最初からボラティリティ(リスク)の高さを理解していれば、相場などはこんなものだと待つことが出来るのです。

初心者が集中投資を行うのは愚行

資産を一気に増大させる方法は、確実に儲かる投資先へ全力でベットすることです。投資の神様と呼ばれるウォーレンバフェットや著名な投資家が集中投資を行う時は、勝つという確信を握った時であり、一個人投資家がそれを得られることは生涯ありません。

経営者と食事をしたり、会社の中身と利益構造、社員のモチベーション、情熱、雰囲気を知ったり、有利な契約を結んだりすることは一般の個人投資家には出来ないのです。決算書や取り繕われたアニュアルレポートを読み、パソコンの前でポチポチしているだけで何が分かるというのでしょう(アニュアルレポートを読めば分かりますが、企業に都合のいいことや理想がたくさん書いてあります。)。企業を完全に理解することは不可能です。出来ると思うなんて図々しいにも程がありますよ。

個人投資家(投資の初心者)がやるべきことは分散投資であり、個別銘柄の分散の前にアセット(資産)の分散を行う事が大切なのです。資産運用の上級者になった時に集中投資を検討して下さい。

資産運用のリターンを決定する最大の要素は資産配分(アセットアロケーション)

数々の資産

1986年に公表されたゲイリー・ブリンソン氏らの論文『Determinants of Portfolio Performance』(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)では、アセットアロケーションがリターンの93.6%を決定すると結論付けられています。

本当かよ、って思いません?しかし、無下に扱うこともできません。米国のバンガード社が、1990年から2015年までの期間の英国の743本のバランスファンド(株式、債券、現金など異なる資産クラスを組み合わせて投資するファンド)のパフォーマンスを測定した所、戦略的アセットアロケーションが、リターンの変動性の80.5%を決定したことがわかったとも述べています。

資産の運用において本当に80~90%のパフォーマンスがアセットアロケーションで決まるのかと疑問に感じますね。ここで疑問を感じない人は少し気をつけて下さい。こういった研究発表には前提条件があるからです。また、投資商品を推奨するときはその商品に都合の良い期間を切り取ったデータが使われていたりするものです。それに様々なパターンを想定すれば、そうならないケースも出てくるとも想像できますね。

また、この結果を逆説的に捉えれば、資産の形成において銘柄の選択はパフォーマンスにほとんど寄与しないということになります。銘柄の選択はどうでもいいことだとは思いませんが、一個人投資家は寄与率を上げる事が出来ないと捉えることが腑に落ちる解釈ではないでしょうか。

アセットアロケーションが資産運用のパフォーマンスに影響を及ぼすことは事実であり言うまでもありません。資産運用(投資)の初心者は、銘柄選定よりも資産の配分を気にすることが重要だという一つの指標です。

資産運用の初心者が分散投資で身を守れる訳

例えば株式100%のポートフォリオを組んでいたとします。1σで15%のボラティリティを持つ株式であれば約50%の変動に見舞われます。株価が半減すれば、資産は50%になるという大きなダメージです。ここで仮にポートフォリオの半分を元本が保証される債券で保有していたら、株式が半減した時の資産はどの程度になっているかは計算できますか?そうです。75%です。資産の減少率は半分に抑えられています。

但し、債券を組み入れるということは短期的な防御力が増す代わりに得られるリターンもそれだけ減少します。株式の低迷期というものは数十年単位に渡り続く場合があるため、残りの投資期間が10年しかない人が株式偏重のポートフォリオを組んではいけないし、若年層が債券偏重ポートフォリオを組むのも資産の形成の歩みを遅めます。

※資産運用の基本は長期投資です。債券は長期投資にはあまり向いてはいません。長期運用にとってのリスクであるインフレに弱いからです。

モダンポートフォリオ理論

分散によりリスクは軽減するが収益率の低下は無い

アセットアロケーションが資産を守り増大させ、分散することで資産の変動を抑えることが出来るということはご理解いただけたでしょうか。資産(アセット)を分散させるメリットはそれだけではありません。

分散投資のメリットを表現した理論にモダンポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)というものがあります。これはノーベル経済学賞受賞者ハリー・マーコビッツ(Harry Markowitz) が発表したものです。ポートフォリオとは複数の投資対象を組み合わせて全体の価値を高めようとするものですが、それを数式として証明した理論です。

簡単に結論を言うと、分散投資のリターンは和となり減りはしないが、リスクは二乗和の平方根で劇的に抑えられるといったものです。

  不動産 収益
投資額 100万円 100万円 200万円
期待リターン(収益率) 10万円 8万円 18万円

リスク(ボラティリティ)
1標準偏差

13万円 10万円 16万円
パフォーマンス(68%)  -3~+23  -2~+18   +2~+34

この例で見れば、株と不動産を個別に保有した場合、マイナスになる可能性がありますが、株式と不動産を50%づつ保有するとプラスにしかならないという訳です。

期待リターンとリスク(ボラティリティ)は実績から求める値で、期待リターンとリスクが分かっている場合、統計学上、実際のパフォーマンスは68%の確率で1×標準偏差、95%の確率で2×標準偏差の間で収まります。

何となく稼ぐからの卒業【学問的に管理】

さらに、相関係数まで考慮した式には下記の様なものがあります。

 σ2=Aσ 2 ×A 2 +Bσ 2 ×B 2 +(r×Aσ×Bσ)×2AB

σ :標準偏差
Aσ  :資産Aのリスク(標準偏差)
A  :資産Aの比率
σ2    :分散
r    :相関係数

これを用いると先の表よりもリスクはさらに小さな値になっていきます。相関係数に1(1は相関が大きいということ)を代入してもリスクは大幅に減ります。

『何となく株が上がって儲かった』『下がって損をした』ではなく、資産運用は学問的にアプローチすることが出来るというものであり、 資産の運用はリスクを取るほどにリターンが上がるシンプルなものではないという金融理論です。

分散投資によりリスクを抑えた負けない投資が可能になります。

コアと異なる相関を持つアセット(資産)を選択して組み込んで行けば勝率は上がり 余裕のあるお金持ちはさらにお金持ちになって行くことが出来るという訳です。 但し、最もリスクが低くなる様な最小分散ポートフォリオを構築しようとして債券比率を上げたりしすぎると、 実際には資産が全然増えない、なんてことになるかもしれません。

理論と実践経験の両輪を備えることが大切です。 資産の増加とリスク許容度、残りの投資人生の長さなどから、配分比率を考え少しづつポートフォリオをリバラスしていけばよいでしょう。

理論は実践検証が必要

理論は自分で実験して検証する。この姿勢が大切かなと思います。ただ全てを自己検証する訳にもいかないので、一つの道標として参考にすると良いかと考えます。何よりも資産の分散による防衛力の増加があることは、投資の初心者でも誰に言われずとも明確に感じ取れることだと思います。

100%正しい定理が存在するのならば、誰もがその手法に身を置く事でお金持ちになれるはずですが、そういったものは存在しません。

こういった言い方をしていまうと、じゃあ理論はどうでもいいと極端に解釈する人も出てくるのですが、それも違うと思います。大海に出るためのベースは必要です。適当に感覚で泳いでいたら沈みますよ。

各資産の相関係数

分散を行う場合はやみくもに分散すると分散の効果は低くなります。同じ市内の不動産二棟を購入しても同じ地価や人口動態に影響され資産価値は連動してしまいますから。相関の低いアセットを対象として選ぶ必要があります。日本株式と組み合わせるとなると、相関の低さで言えばやはり日本債券が筆頭候補にあがってきます。

 

国内
株式

国内
債券
国内
REIT
先進
先進国
債券
新興
新興国
債券
世界
REIT
コモディティ
国内株式  - 0.15 0.56 0.57 0.76 0.55 0.66 0.85 0
国内債券 0.15  - 0.71 -0.13 -0.17 0.03 -0.07 0.2 -0.14
国内REIT 0.56 0.71  - 0.07 0.08 0.12 0.07 0.43 -0.04
先進国株式 0.57 -0.13 0.07  - 0.88 0.87 0.87 0.74 0.51
先進国債券 0.76 -0.17 0.08 0.88  - 0.82 0.92 0.81 0.36
新興国株式 0.55 0.03 0.12 0.87 0.82  - 0.89 0.75 0.21
新興国債券 0.66 -0.07 0.07 0.87 0.92 0.89  - 0.85 0.2
世界REIT 0.85 0.2 0.43 0.74 0.81 0.75 0.85  - 0.08
コモディティ 0 -0.14 -0.04 0.51 0.36 0.21 0.2 0.08  -

※1 国内株式=TOPIX(配当込み)、国内債券=NOMURA-BPI総合、国内REIT=東証REIT指数(配当込み)、先進国株式=MSCI-KOKUSAI(配当込み)、先進国債券=シティグループ世界国債除く日本、新興国株式=MSCIエマージング(配当込み)、新興国債券=JPモルガンEMBIグローバル ディバーシファイド、世界REIT=S&PグローバルREITインデックス(配当込み)、コモディティ=S&P/GSCI商品指数
※2 いずれの指数も円換算
※3 相関係数は2013年12月末時点の1年間の月次リターンに基づく
出所: モーニングスター

相関係数は+1が完全な相関。-1は負の相関(逆の動き)です。

上表は参考値です。相間係数はデータ期間によって変動します。1970年~2004年の期間で見れば日本株式と外国株式の相関は0.3程度ですが、これを2014年までの期間にすると0.4となりますし、2005年~2014年の期間で見れば0.8程度まで上がります。グローバル企業が増えているので世界的に相関が高まっています。但しこれも変動する値ですので一つの目安です。

また、株式と日本債券は非常に相関が低いのですが、株式と外国債券は非常に高い相関を示しています。債券と株は相関が無いと思うのは間違いです。

理想の資産配分(アセットアロケーション)は

理想の資産配分は変化する

資産は基本として、金融商品(株式)、不動産(土地)、現金(債券)の三分類で考えます。かつての経済成長下の日本ならばこの割合が三分の一づつの配分でよかったでしょう。しかし現在の日本株式においては未だ過去のピークを越えられず、世界トップクラスの高齢大国となりました。人口は減少傾向にあり土地の価値が上がっていく保証はありません。そのため世界に目を向けなければならないし、不動産の割合を減らしておく必要が出てきています。

資産配分はリスク許容度、年齢(残りの投資期間)、資金力によって異なります。資金力がある人は投機的なコモディティなどに目を向けても構いません。

資産配分(アセットアロケーション)の例

例えばバンガード・グループの創始者ジョン・C・ボーグル氏は保守的になり過ぎても積極的になり過ぎてもリスクは高まるとして、債券の配分を自分の年齢マイナス10歳にすることを推奨しています。 40歳の人は約30%を債券、70%を株式に配分するということです。

また、ウォール街のランダム・ウォーカーの著者であるバートン・マルキール氏は、20代なら不動産10%、現金5%、債券20%、株式60%、60代には不動産15%、現金10%、債券50%、株式25%という値を示し、高齢者になるほど安全資産を増やすべきだと言っています。

資産運用の初心者は個別株ではなくETF(上場投資信託)等の初めから分散されたものを購入することも一つの手です。いずれにしろ、まずは少額から始めて実践の中で学びながら経験値を上げていくことがよいのではないかと思います。

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