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ADR(米国預託証券)とは
ADRとはAmerican Depositary Receiptの略で、米国預託証券と呼ばれます。
外国企業・外国政府あるいは米国企業の外国法人子会社などが発行する有価証券の一単位、複数単位、あるいはその一部に対する所有権を示す米ドル建ての有価証券で、預託機関である米国の銀行または信託銀行によって発行され、通常の米国株式と同様に売買が行われます。 出典:楽天証券
つまりADRは、イギリスやブラジルなどのアメリカ以外の外国株式を、アメリカを通してドル建で売買できるというものです。僕の保有する世界の外国株も、ベトナム株やアセアン株式等を除いた多くのものが米国を通したADR銘柄となっています。
ADRを通した外国株投資のメリット
ADRのメリットは何といっても世界各国の個別株を簡単に保有できるということです。売買手数料も昨今では非常に安くなりました。それに加えてイギリス株やオーストラリア株などにおいては、現地課税がありません。税制的に非常に有利になっています(日本の税金は掛かります。)。
各国の税率一覧
税率 | |
英国 | 0% |
オーストラリア | 0% |
マレーシア | 0% |
シンガポール | 0% |
香港 | 0% |
米国 | 10% |
中国 | 10% |
タイ | 10% |
カナダ | 15% |
韓国 | 15% |
ロシア | 15% |
スペイン | 15% |
インドネシア | 15% |
オランダ | 15% |
メキシコ | 15% |
イスラエル | 15% |
アイルランド | 20% |
ベルギー | 30% |
スイス | 35% |
※ブラジルは0%だと思っていましたが、配当が大きく税金を引かれている様なので調査中。
ADR銘柄のデメリット
ADR管理手数料
ADR銘柄は売買時の手数料とは別に、預託証券を発行する預託銀行から、定期的に管理費用が徴収される場合があります。
長期投資の相性
投資の基本は長期投資により経済成長の恩恵を受けるということです。これによって誰もが株式市場から利益を享受することができます。だから僕は一度買った銘柄は、大きな含み損になろうとも売らずに持ち続けるケースが多いです。むしろ落ちてきたら買い増しを行うくらいで。
株もFXもレバレッジをかけていなければ、価格が下落しても保有し続けることが出来るという認識を持たれている方が多いかと思います。基本的にはそうなのですが、ADR銘柄に関してはあてはまりません。株式市場ではレバレッジを掛けていなくても強制退場は存在します。
ADR銘柄の上場廃止による強制退場
例えば、僕の保有株であったBTグループは英国(イギリス)の企業です。ADRでアメリカの証券市場と日本の証券会社を通して間接的に保有することが出来ました(過去形)。
そのBTグループなのですが、2019年にアメリカの証券市場から撤退しました。ADR廃止となったのです。アメリカで上場する価値は低いとの判断でしょう。企業自体が倒産したり追い込まれたりしている訳ではありません。イギリスで悠々と存在しているのにも関わらず、日本の株主は強制退場です。
BTグループからすれば日本のホルダーの個人名が株主名簿に載っている訳ではないので、知ったこっちゃあないとは思いますが、含み損をかかえるADRホルダーがどの様なダメージを受けるかは理解できないことはないでしょう。ひどい企業ですね。15~20万円程度の強制損失確定となりました。
BTグループは通信会社で大企業ですよ・・・。
ADR銘柄の含み損は戦々恐々
長期投資家なので含み損は気にしていませんでした。2割下落で損切りなんてとんでもない。しかし、ADR銘柄は保有し続けることができない可能性もありますので、そういったバイ&ホールドという忍耐の戦略が通用しない場合があります。含み損を抱えている時に
『ハイ、ここまで!終了!』
って急に言われるんですねぇ。恐ろしいですね。気をつけなければならないということです。
ADR銘柄の保有比率には気をつけよう
日本の多くの企業も米国での上場を取りやめていますから、経費が高いのかもしれません(この辺りの事情は全くわかりませんが・・・)。ADR銘柄は配当利回りが高いものもたくさん存在しているのですが、それなりにリスクも高いということです。保有比率を高めすぎることには注意して下さい。
僕もこれからADR銘柄の保有金額を少しづつ減らしていこうと思っています。2019年はロシアのモバイルテレシステムズのADR廃止の可能性も高まっていました。わざわざ米国で資金調達を行なうという流れは、減少していくのかもしれません。
今は失敗を労働収入でカバーできますが、アーリーリタイア後の強制退場は辛い一撃となります。数ヶ月分のインカムゲインが飛んでいくなんて(泣)
それでは。